こんばんは。はるろぐ管理者のはるみ(@harumitsu0112)です。
実家があれば不動産の相続とむきあう時期が必ずきます。
家族ではやめに話し合い考えを共有すれば争いを回避できます。
国家資格の宅建士を取得し、不動産の営業を10年近くしています。不動産の相続をきっかけに起こった身内同士の争いを見たり聞いたりすると残念な気持ちになります。良かれと思い不動産を残した方が報われません。
この記事は不動産相続についての初級編です。
ざっくり知るために次の2つについて説明しています。
- 遺言の「ある」「なし」で何が変わるのか知りたい
- どうやって相続する不動産を分けたらいいか知りたい
年末年始やゴールデンウィークなど家族親戚が集まるときに話だけでもしてみてください。お金が関係するデリケートなテーマですが必ず向き合う時がきます。
相続で不動産を受けとる人の決め方は2つ
不動産を渡す人の遺言が「ある」「なし」により決まります。
- 遺言がある→遺言のとおりに行う
- 遺言がない→民法に従って行う
余談ですが、不動産の相続では「渡す人」と「受けとる人」の2人がいます。
【渡す人=相続人 受けとる人=被相続人】と言います。
遺言がある→遺言のとおりに行う
遺言に「長男に自宅を相続させる」と書いてあれば、3人兄弟であっても長男1人で不動産を受けとることになります。
遺言がない→民法に従って行う(遺産分割協議)
【民法に従って行うこと=遺産分割協議】です。噛み砕いて説明すると【遺産分割協議=民法をもとに話しあい遺産を分割する】ことです。
簡単に言うとただの話し合いです。
分割する方法は3つあり分割できなかった場合は共有で受けとる決まりになっています。分割できなかった場合とは、話し合いがうまくいかず喧嘩した場合やそもそも話し合いができなかった場合です。
まとめると、遺言がない場合は受けとる方法の決め方は4つです。
- 話し合いが上手いく→3つ
- 話し合いが上手くいかない→1つ
次項で受けとる方法の決め方4つを掘り下げて説明します。
遺言がない場合、相続する不動産を受けとる方法の決め方4つ(遺産分割協議)
遺言がない場合、民法に従い受けとる人を次の4つの方法で決めます。
- 現物分割→不動産をそのまま受けとる。お金のやりとりなし。
- 代償分割→1人が不動産を受け取り、他の人にお金を支払う。
- 換価分割→不動産を売却して全員で現金を分ける。
- 共有→1つの不動産を複数人で受けとる。
この4つの中の【現物・代償・換価】の3つは遺産分割協議にて決まります。先ほど説明しましたが、遺産分割協議とは受けとる人達で話し合い誰がどうやって受けとるか決めます。簡単に言うと、ただの話し合いです。
話し合いがうまくいかず決めれない場合、話し合いができない場合、話し合いをしない場合は【共有】が行われます。
この4つを深掘りして説明します。
現物分割:相続不動産をそのまま受けとる
不動産をそのまま受けとります。
受けとる人達の間でお金のやり取りはありません。
例1:実家1つ、受けとる人が2人(嫁と子供)
次のどちらかになります。
- 嫁が受けとる
- 子供が受けとる
住んでいるかどうかは関係ありません。
例2:実家1つアパート3つ、受けとる人が4人(妻と子供3人)
考えられる大よそのケースは次の通りです。
- 実家を妻が受けとり、アパート3つを子供3人が1つづつ受けとる
- 実家を妻が受けとり、アパート3つ全てを子供の1人が受けとる
- 実家とアパート3つ全て妻が受けとる
現物分割は、受けとる人達の関係が良くないと上手くいきません。なぜなら、不動産は唯一無二それぞれ価値がちがうからです。
もし、相続で受けとれるとしたら次のどちらが欲しいですか?
- 築5年、駅まで徒歩5分、海の見えるタワマン高層階(約5000万)
- 築50年、駅まで徒歩40分、6DKの木造平屋(約300万)
関係が良いから大丈夫と思っていても、お金が絡むと固い絆も壊れる可能性があります。そうならないために、早くから家族で話し合いをして争いを回避しましょう。
代償分割:相続不動産を受けとってお金を支払う
不動産を受けとる人が受け取らない人にお金を支払います。
例1:実家1つ、受けとる人が子供3人
ほとんどが次の1ケースです。
- 子供1人が受けとり、他の2人にお金を支払う
支払う金額は話し合いで決定します。
例2:実家1つアパート1つ、受けとる人が4人(妻と子供3人)
不動産の数と受けとる人が増えるほど複雑になりますが、このケースでは次の2パターンが多いです(僕の感覚)。
- 実家とアパートを妻が受けとり、子供3人へお金を支払う
- 実家を妻が受けとる。子供1人がアパートを受けとり他の子供2人にお金を支払う
換価分割:相続不動産を売却してお金を分ける
不動産を売却し現金にしてから分けます。
細かい話をすると売却するには一度受けとる必要があり、共有の相続登記をする必要があります。難しいので深く考えなくてもOKです。読み進めましょう。
例1:実家1つ、受けとる人が3人(嫁と子供2人)
実家を売却して、嫁と子供2人の合計3人で分けます。お金の配分割合は話し合いで決めます。
実家を売却して3,000万円手元に残った場合次のケースが考えられます。
- 3人それぞれ1,000万づつ分配する
- 嫁が2,000万円で子供が500万円づつ
引越や家を新たに購入したり借りたりする費用が発生するので、売却する家に住んでいる人が多めにもらう場合が多いです(僕の感覚)。
例2:実家1つアパート1つ、受けとる人が4人(妻と子供3人)
不動産が複数ある場合は、受けとる不動産と売却する不動産を話し合いで決める事ができます。多いのは次の2ケースです。
- 実家はそのまま妻が受けとり、アパートを売却して4人で分ける
- 実家はそのまま妻が受けとり、アパートを売却して子供3人で分ける
共有:相続不動産を全員で受けとる
1つの不動産を分割して受けとるのではなく、不動産全体を全員で受け取り所有します。
共有する場合は次のケースです。
- 話し合いが(遺産分割協議)上手くいかなかった
- 換価分割をする
話し合いが(遺産分割協議)上手くいかず共有の状態になっている不動産は多くあります。しかし、共有すると所有者全員が承諾しなければ売ることも貸すこともできません。
相続が上手くいかず共有で所有していると利用する事ができない【活用できない不動産】となります。
相続不動産を平等に分けて受けとるには
ここまでを簡単にまとめます。
- 受けとる人は遺言の「ある」「なし」で決まる
- 遺言が「なし」なら4つの方法で受けとり方が決まる
ここまで読んで平等に受けとる方法とそうでない方法が混在していると思いませんか?
結論どの受けとり方が良いのか考えてみました。
平等に分けたい
- 換価分割→不動産を全て売却して現金へ
- 共有→全員で所有する
平等に分けたいに加えて次のケースに該当する方は換価分割と共有が良さそうです。
- 話し合い(遺産分割協議)が上手くいかない→共有
- 受けとっても不動産を使わないし維持管理が面倒→換価分割
- 不動産を手放したくない→共有
不動産を受けとりたくない・譲りたい
既に住んでいる家族に譲りたい、既に他の自宅を所有しているからいらない、維持管理が面倒、話し合いに参加したくないなどのケースが考えられます。
- 換価分割→売却してお金を貰う
- 代償分割→放棄してお金を貰う
- 現物分割→放棄して他の人に譲る
お金が欲しい
なぜ欲しいのかを他の相続人にきちんと説明しないと争いに発展する可能性があります。慎重に思いを伝えましょう。
- 換価分割→売却してお金を貰う
- 代償分割→譲る代わりにお金を貰う
まとめ
遺言の「あり」「なし」の確認から始まり、話し合いが上手くいくまで不動産の相続は続きます。
- 遺言の「あり」「なし」で相続人が決まる
- 遺言が「なし」なら遺産分割協議を行う
- 遺産分割協議が上手くいけば「現物」「代償」「換価」で進む
- 遺産分割協議が上手くいかなければ「共有」となる場合が多い
「共有」は一時的な方法です。「共有」の状態で不動産を放置すると次の相続時にさらに相続人が増えて不動産の活用が難しくなります(売るために全員の同意が必要になるため)。
残してもらった不動産で家族同士の争いを起こさないために、早いうちにしっかりと話し合い、お互いがどのように考えているのかを共有しておきましょう。
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